【新潟県 長岡偏】栃尾攻略 景虎「14歳の初陣」


【新潟県 長岡偏】栃尾攻略 景虎「14歳の初陣」

青年期を過ごした栃尾

1543年8月15日、虎千代から景虎へと元服すると、越後中部の反乱を治めるため兄の晴景に代わり、栃尾城へと入り14歳にして初の出陣となる。また、景虎が再び春日山城へ戻るまで青年期を過ごした場所でもある。
栃尾にあった「瑞麟寺」において修行を重ね、正義を重んずる清廉な人格をこの地で形成したと言われている。
栃尾では年に1回、「謙信公祭」が開催され、昭和43年に開かれて以来、2012年で45回目の公祭となる。

虎、14歳の夏

虎、14歳の夏 その頃の栃尾の情勢は乱れていた。内紛を治めるため送り出されていたのが景虎の兄の晴景である。しかし争いが治まる気配は無い。それどころか、兄である晴景を慕わず、よからぬ動きを見せる者が出てきた。
重臣の中には派閥を作る者まで現れ、権力を握ろうと企む輩(やから)が出てくるのである。その頃、栃尾の筆頭家老でもあった「長尾政景」もその一人であった。
長尾政景は、晴景、景虎の従兄弟にあたる人物で、家老の中でも実力のある家臣(部下)であった。晴景に代わり実権を握ろうと思ったのであろう。
1543年、景虎を晴景の援護に送り込むのである。景虎は軍を従え内紛を治めに栃尾へと出陣するのである。自らが戦の先頭に立ち、初陣とは思えぬ勇ましさと武力によって次々と豪族を討ち倒し、勝利するのであった。虎千代14歳の夏であった。
この時長尾政景はこれといって特に目立った動きは見せず景虎の存在にただただ驚いていたという。

虎の才覚

虎の才覚 景虎は内紛を治めると栃尾城(鶴城山)へと入ることとなる。春日山城から住まいを移したのである。兄である晴景は栃尾を去り、春日山城へと戻るのであった。そんな矢先の出来事である。
晴景の重臣を務める黒田秀忠が裏切りを起こすのである。1545年10月の出来事であった。景虎のもう一人の兄、景康が黒田秀忠によって命を落とすのである。晴景を案じた景虎は春日山城へと戻り、黒田秀忠を討とうとするのであるが、この動きに気づいた黒田秀忠は景虎に恐れをなし許しを求めた。義を重んじる景虎は、黒田秀忠に忠誠を誓わせこの度の行いを許すと、再び栃尾城へと戻るのである。
しかし1546年、黒田秀忠が再び裏切りを起こす。信義を重んじる性格ゆえに「忠誠を誓ったにも関わらず再び謀反(裏切り)を起こすとは」と虎景は怒り、今度こそ黒田秀忠を討ちに行くのである。
晴景の軍と共に出陣すると、一網打尽に黒田一族を滅ぼしまたもや内紛を治めるのであった。

政景の陰謀

政景の陰謀 黒田秀忠との一件で、景虎は越後の武将から大きな信頼と人望を集めることとなった。ところが景虎を恐れる人物がいた。従兄弟であり、重臣を務める長尾政景である。また、兄である晴景も弟である景虎に自分の権力を奪われてしまうのではないかと恐れていた。
この様子に気づいた政景は、晴景をそそのかしたのである。これは推測であるが、「景虎様は多くの大将を味方に付け、兄であるあなたを亡きものにしようとしているに違いない。戦いは先手をとった方が勝ちゆえに、こちらから討って出るに策は無い」とでも言ったのであろうか。
兄である晴景は景虎を脅威と感じ、政景の言葉を聞き入れたのである。政景は、6千の兵を率い景虎の城に押し寄せた。このことに気づいた景虎は「振りかかる火の粉は払わねばならぬ。敵が兄であろうとこれも仕方のない運命であろう」と武将を集め政景を迎え討つのであった。

龍の才覚 越後の国主

龍の才覚 越後の国主 景虎、晴景の争いは言わば「兄弟喧嘩」である。この状況を見兼ねた越後の守護代である上杉定実は、晴景に景虎を養子にするよう助言し、和平を約束させたのである。晴景には子がないことから、弟景虎を養子として長尾氏の後を継ぐようにと策を練ったのである。
晴景、景虎はこれを承知し兄である晴景は1548年12月、弟の景虎と父子の義を結び、景虎を長尾家の後継者にするのであった。景虎18歳の冬であった。
晴景はもともと体が弱くその後も病気がちで隠居状態となり実質的には景虎が情勢を仕切っていた。5年後の1553年、晴景は42才でこの世を去るのである。
この頃すでに越後の守護代であった上杉定実が亡くなっていたため、必然的に景虎が越後の国を治める領主となっていた。
ところで「長尾政景」はというと、景虎の動きを良く思わず、後に敵対し反乱を起こすこととなるのだが。

栃尾城跡
栃尾城跡
住所:新潟県長岡市栃尾大野町

■瑞麟寺跡
住所:新潟県長岡市栃尾宮沢地内

■秋葉公園(謙信公銅像)
住所:新潟県長岡市谷内2丁目

秋葉神社
秋葉神社
住所:新潟県長岡市谷内2丁目

常安寺
常安寺
住所:新潟県長岡市谷内2丁目7-7
[見どころ]瑞麟寺梵鐘

謙信廟
住所:新潟県長岡市上の原町1丁目13

※栃尾の史跡に関するお問合せ先:0258-52-5827(商工観光課まで)