【山梨県 北杜編】「三分一湧水」400年の歴史古道


【山梨県 北杜編】「三分一湧水」400年の歴史古道

古道を歩いて

古道を歩いて(棒道橋の画像) 信玄が軍用道路として使用していた「棒道」。400年前から現代に至るまで様々な人々の足跡を残してきた。
棒道には観音菩薩を祀った石碑(観音石仏)が数箇所に点在しており神聖な雰囲気が漂う林道である。棒道橋を渡りしばらく進むと道が2本に別れる。それを直進したところに「小荒間番所跡」がある。信玄により1532年に設置された物資の移動や通行人の監視を行うために備えた番所である。
番所を通過し、5分ほど歩くと「三分一湧水」が見えてくる。八ヶ岳麓から流れる名水「八ヶ岳南麓高原湧水群」の流水地で公園になっており現在では憩いの場となっている。さらに奥へと進めば「小荒間古戦場跡」へと続く。
1540年2月、信濃(長野)の村上義清が3500人の軍勢を引き連れこの地に押し寄せ近郷(近くの村)を焼き払ったので、信玄は軍を率いて村上軍と合戦し勝利を収めたのである。その合戦跡地が小荒間古戦場跡で、「御座石」や「鞍掛石」、「遠見石」など信玄にまつわる史跡が今も残されている。

知恵と歴史に触れて

知恵と歴史に触れて(三分一湧水の画像 その昔、八ヶ岳下流に住む農民の命の源として農業や生活用水に重宝されていた水がある。八ヶ岳麓から流れる湧水である。しかし、この水利権を巡って3つの村が争ったという。
これを見兼ねた土地の武将、武田信玄は湧水が流れてくる入口に三角の石を立て、三方向へ平等に水が流れるように策を講じた。これによって水利権を巡る争いは無くなり、以降、現代に至るまで農業用水として地元民の間で活用され続けている。
しかし、史実にこれらを記す明確な情報などは確認されておらず謎となっている。実際に三分一湧水の周辺にもこれらを示す案内などは存在していない。
湧水を一ヶ所に集め三等分するようになったのは、1800年の土石流で湧水池が埋まった以降という話もある。さらに、三角柱が設置されたのは1947年の昭和になってからのことであるという説もある。
まぁ、とにもかくにも山梨に縁の深い信玄のことだ。事実、三角の石じゃなかったとしても、何かしらの策をとったに違いない。

味噌なめ地蔵

味噌なめ地蔵 時は戦国、1542年のことだった。信玄が信濃(長野)攻略の際、大門峠まで軍を進めていた時の話である。山道にあった地蔵がやたらと光を放ち、兵の足を止めたのである。軍を思うように前進させることが出来ず困った信玄は、地蔵を縄で縛り引きずり歩いた。
ところが、若神子村(北杜市須玉町)にある「正覚寺」の前まで来ると、地蔵がピクリとも動かなくなったのである。そしてこの地蔵様を正覚寺に安置し、「味噌なめ地蔵尊」として祀ったのである。別名を放光菩薩と言う。背中には縛られた時の縄の跡が残されている。
味噌なめ地蔵尊には神仏のご利益があり、自分の体の病んでいる部分と同じヶ所に味噌を塗って祈願すれば傷や病が回復すると言われている。

富士五湖「浅間神社」

富士五湖「浅間神社」 山梨には信玄ゆかりの地が多数あり、甲府、甲州、韮崎、北杜、富士河口湖町をはじめとして、ほかにも合わせると20ヶ所以上の地域で史跡や名所が各地に点在している。
富士河口湖町は山梨県の南部に位置し、武田家三代に渡り戦勝祈願所としていた「富士御室浅間神」や、富士河口湖町を少し離れたところには「北口本宮富士浅間神社」が存在する。「浅間神社」とは浅間大神(富士山の神霊)を祀る神社で、富士山近郊の山梨と静岡を中心に分布している。
本宮は静岡県富士宮市の「富士山本宮浅間大社」であるが、奥宮(離れた場所にある本宮)は富士山の頂上に位置している。また、富士山の8合目以上は浅間大社の境内(敷地)となっている。日本一の山だけに、なんともスケールの大きい話である。

武田家の最後

武田家の最後 信玄公亡き後を継いだ勝頼は1575年に「長篠の戦い」(愛知県新城市)で織田、徳川の連合軍に大敗する。その後、1582年2月末日、武田一族の親族である駿河江尻城主の穴山梅雪が家康の味方につくと、同年3月3日、築城したばかりの新府城に火を放ち岩殿山(現在の大月駅の向かい)へと向かった。岩殿山には武田家三代(信虎、信玄、勝頼)に仕えていた小山田信茂の居城である岩殿城があった。
山中を逃走する中、笹子峠(山梨県甲州市大和町と大月市の堺)付近で小山田信茂が武田方を裏切ったことを知り、勝頼は田野の地(甲州市大和町)まで逃れたが北条夫人、長男信勝とともに自害してこの世を去った。新羅三郎義光に始まった名門武田家は20代目にして幕を下ろすのである。

■棒道
棒道
住所:山梨県韮崎市穴山町、または北杜市須玉町(長坂町)
お問合せ先:0551-42-1351(商工課まで)
[見どころ]信玄が用いた軍用道路である。観音石仏が点在している。

■小荒間番所跡
小荒間番所跡
住所:山梨県北杜市長坂町小荒間729
お問合せ先:0551-42-1351(商工課まで)
[見どころ]番所跡を示す石碑や石像

三分一湧水公園
住所:山梨県北杜市長坂町小荒間292番地1
お問合せ先:0551-42-1351(商工課まで)
[見どころ]三角柱・流水地

■小荒間古戦場跡
小荒間古戦場跡
住所:山梨県北杜市長坂町小荒間
お問合せ先:0551-42-1351(商工課まで)
[見どころ]御座石・鞍掛石・遠見石

山本勘助の墓
住所:山梨県北杜市高根町蔵原
お問合せ先:0551-42-1351(観光課まで)
[見どころ]山本勘助の屋敷と墓がある。

冨士御室浅間神社
冨士御室浅間神社
住所:山梨県南都留郡富士河口湖町勝山3951
お問合せ先:0555-83-2399(案内係まで)
[見どころ]本殿・信玄祈願の石碑・信玄自筆の安産祈願文・信玄自刻の座像、武田不動明王

北口本宮冨士浅間神社
北口本宮冨士浅間神社
住所:山梨県富士吉田市上吉田5558
お問合せ先:0555-22-0221(案内係まで)
[見どころ]大鳥居(日本最大の木造鳥居)・太郎杉・夫婦桧・諏訪拝殿・冨士登山道吉田口

正覚寺
住所:山梨県大月市富浜町宮谷769
お問合せ先:0554-23-1738(案内係まで)
[見どころ]味噌舐め地蔵尊

■岩殿山城
岩殿山城
住所:山梨県大月市大月1丁目
お問合せ先:0554-22-2111(大月市役所観光案内課まで)
[見どころ]城跡・番所址・城跡から眺める大月市街