【山梨県 甲府編】「戦の鬼」勝運を求めて武田神社へ



【山梨県 甲府編】「戦の鬼」勝運を求めて武田神社へ

積翠寺で生まれる

積翠寺で生まれる 1521年、戦国乱世の最中、甲斐(現在の山梨県甲府市)守護職(地域の監督役)であった武田信虎の嫡男(後継者)として積翠寺にて元気な男の子が生まれた。名は「太郎」、後に甲斐の虎と恐れられた知将「武田信玄」の誕生であった。
信虎夫婦は飯田河原の合戦の最中、戦乱を避け積翠寺に留り、太郎を出産したのである。当時、今川家の臣福島正成が甲斐に侵入して戦が頻繁に行われていた。
本堂の裏には産湯を汲んだと伝えられる井戸が現在でも残されており、溢し場には産湯の天神が祀られている。左側に不動明王、右には車折明神で積翠寺の鎮守(守り神)として祀ったものである。後に東郷平八郎によって「武田信玄公誕生の地」と書かれた石碑が建てられている。
また、積翠寺には要害城(積翠山城)が建てられ、緊急時に非難する城として父である信虎が築城した場所でもある。

一族居住跡「武田神社」

一族居住跡「武田神社」 信玄にゆかりの深い場所といえば「武田神社」である。信虎、信玄、勝頼の武田家三代が実際に暮らしていた場所でもある。甲斐を語るうえでは欠かすことの出来ない人物ゆえに、数々の遺徳が言い伝えられている。
信玄の遺徳に敬意を示した地元民の運動が中心となり、主に信虎と信玄の居住であった「躑躅ヶ崎館跡」に現在の武田神社が建立され、信玄を祀ったのである。
甲斐の守護神とだけあり、「勝運」のご利益でも有名な神社である。勝負事に限らず「人生そのものに勝つ」「自分自身に勝つ」という意味合いも込めているとのことである。また信玄は、農業、商業、工業に力を注いだことから、産業や経済の神としても信仰を集め、崇拝されている人物である。

信玄の遺徳

信玄の遺徳 信玄の遺徳を語るうえで外すことのできない功績が、「治水工事」や「信玄棒道」などの土木事業である。
甲府を流れる釜無川、甲府西部を流れる御勅使川との合流点は甲斐でもひと際目立つ水難の名所であった。普段は穏やかな流れであるが水かさが増すと、川の流れが速い御勅使川が釜無川にほぼ真横から合流するため、両岸に溢れて水害を引き起こしていた。
信玄は武田の家督を相続すると(1541年)、すぐに水防工事に着手したのである。まずは御勅使川の流路を変え、釜無川との合流地点を川上に移した。川上の対岸には「竜王高岩(りゅうおうたかいわ)」と呼ばれる岩盤で出来た崖があり、合流した御勅使川の水流をこの岩盤にぶつけることで水の勢いを弱めたのである。

信玄堤の開拓

信玄堤の開拓 2つの川の流路を変える治水工事を完成させた信玄は、次に堤防作りを開始した。
川の流れに逆らうような八の字型の堤(土を高く積み上げたもの)を両岸に等間隔で設置し、それぞれ堤の一部が重なるように築いていくのである。
川の流れを柔らかく受け止めて、災害の際には溢れた水が下流の隙間から再び川に戻っていく仕組みとなっている。また、水防林を設置することで水の流れを和らげている。現代のような強度に優れた堤防を作ることができなかった時代に編み出した信玄の知恵である。
さらに「出し」と呼ばれる土塁を設置した。岸から川に向かって突き出すような形で土を高く盛ったものである。当時は、一の出し 二の出しと呼ばれた2つの「出し」が存在したようだが、現在では一の出しだけが石とコンクリートで作り直された状態で残っている。
これによって、水の流れの勢いを更に弱め、八の字型の堤の負荷を減らしたのである。また、「聖牛」と呼ばれる木材で作ったものも川岸に設置され、水の勢いをさらに弱めたという。

土木業の礎(いしずえ)

土木業の礎(いしずえ) 信玄は釜無川の治水工事を20年の月日をかけて行った。現代ではこれらの技法を「甲州流防河法」言い、近年の土木業の基盤となっている要素も存在する。工業に関しても信玄の功績は後世において高い評価を受けているのである。
JR中央線が通る竜王駅に近い「信玄橋」から川上の「双田橋」にかけて遺されている。

武田家ゆかりの寺が多く点在する街

武田家ゆかりの寺が多く点在する街 武田家に縁の深い寺を大まかに並べても甲府地方だけでも10箇所はあげられる。細かいものをあげればまだ他にも出てくるだろう。
父である信虎の墓がある「大泉寺」や、母や兄弟の墓が建てられている寺が多く存在している。また、信玄自身の墓も武田神社の近くに建っており、ゆかりの深い場所である。
病死してから3年の間、武田神社近くの墓に埋葬されていたのだが、その後は塩山(甲州地方)の恵林寺に移葬されるのであった。
甲斐の混乱を避けるため武田の死は3年間、公にはされていなかったという。その間、信玄の影武者として務めたのが弟である信廉である。

■積翠寺(要害城跡)
住所:山梨県甲府市上積翠寺町
お問合せ先:055-252-6158(観光課まで)
[見どころ]信玄公産湯の井戸・信玄公産湯天神・石碑・要害城跡

武田神社
武田神社
住所:山梨県甲府市古府中町2611
お問合せ先:055-252-2609(案内係まで)
[見どころ]神楽殿・拝殿・躑躅ヶ崎館跡・信玄が使用していた井戸・姫の井戸のお水・武田水琴窟

武田信玄公墓所
武田信玄公墓所
住所:山梨県甲府市岩窪町
お問合せ先:055-237-5702(観光開発課まで)
[見どころ]信玄の墓・岩窪のヤツブサウメ・案内板

■円光院
住所:山梨県甲府市岩窪
お問合せ先:055-253-8144(案内係まで)
[見どころ]信玄が定めた5つの寺院(甲府五山)のひとつ。

■法泉寺
法泉寺
住所:山梨県甲府市和田町
お問合せ先:055-252-6128(案内係まで)
[見どころ]信玄が定めた5つの寺院(甲府五山)のひとつ。勝頼(信玄の四男)の墓がある。

■大泉寺
住所:山梨県甲府市古府中町
お問合せ先:055-253-2518(案内係まで)
[見どころ]父である信虎の墓がある。

長禅寺
長禅寺
住所:山梨県甲府市愛宕町208
お問合せ先:055-237-5702(観光開発課まで)
[見どころ]信玄が定めた5つの寺院(甲府五山)のひとつ。信玄の母、大井夫人の墓がある。武田信虎夫人像は国の指定重要文化財に登録されている。

■能成寺
住所:山梨県甲府市東光寺町2153
お問合せ先:055-233-9396(案内係まで)
[見どころ]信玄が定めた5つの寺院(甲府五山)のひとつ。

東光寺
東光寺
住所:山梨県甲府市東光寺3-7-37
お問合せ先:055-233-9070(案内係まで)
[見どころ]信玄が定めた5つの寺院(甲府五山)のひとつ。武田義信(信玄の長男)の墓があり、仏殿は国の指定重要文化財に登録されている。

甲斐善光寺
甲斐善光寺
住所:山梨県甲府市善光寺
お問合せ先:055-233-7570(案内係まで)
[見どころ]山門、金堂は国の指定重要文化財に登録されている。

■一蓮寺
住所:山梨県甲府市太田
お問合せ先:055-233-2009(案内係まで)
[見どころ]信玄の筆と伝えられる「紙本著色渡唐天神像」がある。

■入明寺
入明寺
住所:山梨県甲府市住吉4-13-36
お問合せ先:055-228-2907(案内係まで)
[見どころ]信親(信玄の次男)の墓がある。

■信玄堤
住所:甲斐市竜王1989